腸脛靭帯炎(ランナー膝)について
こんにちは!敦賀市のみしま整骨院、院長の宮本です。
今回は腸脛靭帯炎(ランナー膝)について原因や症状・治療方法などご紹介していきたいと思います。
【腸脛靭帯炎とは?】
ランニングをしている方は、「走っているときに膝の外側が痛む」そんなことを一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
腸脛靭帯とは骨盤(腸骨)から大腿外側を通り脛骨外側(ガーディ結節)に至る靭帯のことを指します。
スポーツ選手、特に長距離ランナーによく起こる膝の障害であるため、別名【ランナー膝】とも呼ばれています。最近ではウォーキングや登山をされる方にも多く発症している印象があります。
【原因】
腸脛靭帯炎の原因についてご説明していきます。
先ほどもお話ししましたが、腸脛靭帯とは骨盤から脛骨(スネの骨)まである大きな組織になります。
腸脛靭帯は膝の屈伸に伴い、大腿骨外側上顆と呼ばれる骨の出っ張りの上を前後に移動します。
ランニングやジャンプなど膝の屈伸を繰り返すことで、腸脛靭帯が大腿骨外側上顆の間で摩擦ストレスを受け炎症が生じ、痛みとして症状が現れます。
そのため、走っている途中や走り終わった後に【膝の外側の痛い】として訴えることが多いのが特徴です。
ただランナー全員が腸脛靭帯炎になるのか?と言われるとそうではありません。
例えばですが、
・O脚
・走るときのフォーム不良
・股関節の柔軟性不足
・足に合わない靴を履いている
・オーバーワーク
などなど、原因は様々あります。
上記に挙げた原因が一つだけというよりは、複合的に合わさって症状が出現していることがほとんどです。
そのため、痛めた膝だけでなく全身のカラダのバランス、ランニングフォーム・靴のチェックなど、患部以外のアプローチも必要となります。
【治療方法】
治療方法としてはリハビリなど保存療法が中心になります。
原因のところでもお伝えしたように、腸脛靭帯炎を引き起こす原因は様々です。
そのため、まずはなにが腸脛靭帯炎を引き起こす原因となっているのか見つけていく必要があります。
それが治療を進めていく上の第一歩になります。
ちなみに当院の場合ですが、まずは腸脛靭帯そのものの柔軟性や、股関節の柔軟性や筋力チェック、姿勢の評価などから患部の状態や全身のバランスを把握していきます。また歩行やランニングの動作をチェックし、腸脛靭帯に負担のかかる動作になっていないかを確認していきます。当然その際に、靴のチェックも併せて行っていきます。
これら様々な検査・評価を行い、なぜ腸脛靭帯に負担がかかったのか原因を突き詰めていきます。
簡単に言えば柔軟性が少ないのであれば筋肉を緩めるアプローチやストレッチ、動作が悪いのであれば、動作を改善するトレーニングなど行っていきます。
【実際の患者さん紹介】
では当院に腸脛靭帯炎で来院された患者さんをご紹介していきます。
20代女性で、1年前に登山に行ったあとから両膝の外側が痛むようになりました。
病院に受診したり他の整骨院さんで治療していましたが、登山に行ったりランニングをしたときの痛みが継続するということで来院されました。また階段の昇り降りが多かった日なども痛むという主訴がありました。
【膝の状態をチェックすると・・】
両膝の状態をチェックすると、腸脛靭帯そのものの柔軟性が低下していました。また太ももに対してスネの骨が外側に捻じれている状態にもなっていました。その他、股関節の柔軟性もやや低下していたり、おしりの筋肉の筋力低下も見られました。
【歩行をチェックすると・・】
また歩行やランニング動作をチェックすると、踏み出した足が接地してから膝が外側に大きくブレる動きが見られました。そのため、腸脛靭帯にも伸張されるようなストレスがかかっていることが予測されました。
【実際の治療】
治療としてはまずは膝の捻じれを解消するようなアプローチを行いました。
また併行して腸脛靭帯の過剰な緊張を緩めるようなアプローチも行っていきました。
患者さんご本人には、股関節の柔軟性を改善する目的でセルフストレッチや、股関節まわりの筋肉をつけるトレーニングをご指導させていただき、ご自宅で励んでいただきました。
治療と並行して、ご自宅でも頑張ってトレーニングに励んでいただいたお陰もあり、膝の捻じれも解消され、腸脛靭帯の過剰な緊張や股関節周りのコンディションも改善されました。歩行でも初診時に比べ膝が外側にブレる動きが改善されました。
約3ヶ月後には登山やランニングでの痛みもかなり軽減するまでになりました。
ただ、まだ体幹の機能や足の筋力なども含めて課題はあるので、そこが改善されていくと更に良い方向にいくと考えています。
【まとめ】
腸脛靭帯炎について原因や治療方法などをご紹介しました。
腸脛靭帯炎は、膝だけでなく姿勢も含めた全身のバランスを整えていく必要があります。
また歩行やランニング動作をチェックすることも重要です。
「走ると膝の外側が痛む」そんな方は腸脛靭帯炎かもしれませんので、一度医療機関を受診するなど専門家に診ていただくことをおススメします。